その後の物語

2024年9月27日(金)と28日(土)の二日間、野津塾をつくった母、野津昌世(まさよ)をしのぶ「お別れの会」が、塾の教室で開かれました。
両日とも朝の10時から夜の23時まで、訪れる人は途切れることがなく、時には教室に入りきれないほどでした。
ブログ上のわずかな告知にもかかわらず、何百人という人たちが、母にお別れを伝えに来てくれたのです。
遠方からわざわざ時間をかけて来てくださった方もいて、皆様から心のこもった感謝のお言葉をいただきました。
母に想いを伝えて下さった全ての皆様に、あらためて御礼申し上げます。
ほんとうにどうもありがとうございました。

亡き母のおかげで、この二日間、昨年から30数年前まで、あらゆる世代の元生徒たちに再会することができました。
…卒塾して間もない元気な高校生、少し大人びてきたおしゃれな大学生、仕事をはじめたばかりの新社会人、ありきたりじゃない我が道を行く若者、責任ある仕事を任され充実した表情の青年、家庭を持ち幸せそうな新婚さん、小さな子どもを連れたお父さんやお母さん…
それは、登場人物が何百人もいる壮大な映画のシークエル(後日譚=ごじつたん)を見ているような2日間でした。

普通の塾の仕事は、勉強しました、合格しました、おめでとうございます、それで終わりです。
けれども人生は、それで終わりではありません。
野津塾で勉強した生徒たちは、その後どうなったのか。

5年後、10年後、20年後の、元生徒たちのその後の人生の物語、それは百人百様の、想像を遥かに超える物語でした。

人生にはしばしば、予想もしなかったことがおこります。
それを受け入れるのか、あらがうのか…
夢をかなえ目標を実現した人も、壁にぶつかって苦しんでいる人も、成功と名声を手に入れた人も、思ってもみなかった人生を送る人も…
何が正しかったのか、どうすればよかったのか、今はまだわからない。
誰もが一度きりの人生を、迷いながら悩みながら、一生懸命に生きていました。
それは尊くかけがえのない、それぞれの唯一の物語でした。

その物語の一章を、野津塾がになう責任を感じながら、今日からまた、塾を再開します。

長い長い時間がたって人生を振り返ってみるとき、心の深いところであたたかく輝く大切な思い出として、この教室の風景がよみがえりますように。

母を見送っていただいてどうもありがとうございました。


野津昌生

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